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Lapislazuri stern
姉妹たちに別れを告げ、一人になった〔トロイメント〕
それは「戦いの果て、最後のひとりになる」というさみしい目標に、少しでも慣れるためだったろう。
アリスゲームが始まれば、必ず誰かがいなくなる。 もう二度と、今のようには戻れない。
それは蒼星石自身が言ったこと。
それを十分すぎるほどわかっていて、なおかつ彼女は
運命を受け入れた。
「君は強いな、、、、、」
と、いつか蒼星石はぽつりと洩らしい。
「蒼星石を失うくらいなら、アリスになれなくていい」と言った翠星石への、正直な賛嘆。
アリスゲームは、父ローゼンが定め、与えた道。
定められた道を自ら外れてゆける態度は、蒼星石には「強さ」と映るのだ。
彼女は自分には、その強さはないと感じている。 まっすぐな子だから、そんなふうに思い切れない。
一途だから、やり遂げることしか知らない。
水銀燈や薔薇水晶なら、蒼星石のほうこそ「強い」と認めるだろう。
彼女たちは、自分自身の強さを信じているから戦っている。
だが蒼星石は自分の心が弱い、弱いは強い。
まるで、左右で色の異なる彼女の瞳のように、蒼星石はその両面を持っている。
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