Lapislazuri stern

1/1
前へ
/8ページ
次へ

Lapislazuri stern

姉妹たちに別れを告げ、一人になった〔トロイメント〕   それは「戦いの果て、最後のひとりになる」というさみしい目標に、少しでも慣れるためだったろう。   アリスゲームが始まれば、必ず誰かがいなくなる。 もう二度と、今のようには戻れない。        それは蒼星石自身が言ったこと。          それを十分すぎるほどわかっていて、なおかつ彼女は 運命を受け入れた。    「君は強いな、、、、、」 と、いつか蒼星石はぽつりと洩らしい。       「蒼星石を失うくらいなら、アリスになれなくていい」と言った翠星石への、正直な賛嘆。        アリスゲームは、父ローゼンが定め、与えた道。   定められた道を自ら外れてゆける態度は、蒼星石には「強さ」と映るのだ。   彼女は自分には、その強さはないと感じている。  まっすぐな子だから、そんなふうに思い切れない。  一途だから、やり遂げることしか知らない。     水銀燈や薔薇水晶なら、蒼星石のほうこそ「強い」と認めるだろう。      彼女たちは、自分自身の強さを信じているから戦っている。          だが蒼星石は自分の心が弱い、弱いは強い。     まるで、左右で色の異なる彼女の瞳のように、蒼星石はその両面を持っている。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加