薔薇乙女・心の絆

Reiner Rubin

アリスゲームは、人形たちか、お互いに命を奪い合い、たったひとりが生き残るバトルロイヤル。　　　　ひとたびそれが始まれば、確実に誰かはいなくなる。ゲームが進めば進むほど孤独に近づく。　　　　　　真紅はそのことに気づいた。　　　　　　　　　　　それは自分が望むことなのか？　　　　　　　　　　そして決めたのだ。アリスを目指さない。　　　　　ローザミスティカを奪わない。　　　　　　　　　　アリスゲームを放棄する。たったひとりで完璧な存在になるより、不完全なままたくさんの人々や姉妹たちの間にいることを彼女は選んだ。　　　　　　　　　大きな目で見れば、それは完璧であるのと同じことなのだ。　　　　　　　　　そんな気持ちになれたのは水銀燈のおかげだ。　　　かつて真紅は彼女に腕を奪われ、ジャンクになる悲しみを知った。　　　　　　水銀燈のボディを滅ぼし、そのとき姉妹がいなくなる痛みを知った。　　　　　彼女は姉妹たちを愛している。　　　　　　　　　　水銀燈のことすら愛しいのだ。　　　　　　　　　　アリス、になるということは、姉妹たちを失う痛みと引きかえにするほどの価値があるのか？　　　　　　真紅は優しくなった。　　優しさとは、不完全なものを許すことだ。真紅は優しい。　　　　　　　　　　水銀燈も優しい。　　　　もしも完璧な少女、アリス、になったとき、彼女たちは今のように優しいだろうか？