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あの日のワンピース
それから何度目かの春、私は会社が休みの日にさやかと買い物に出かけた。桜が満開で、テイクアウトしたサンドイッチを公園で食べた。優しく春風が吹き抜けていって「いいお天気だね」と二人で話した。最高の気分だった。
お茶した後に寄った洋服屋さんで運命の出会いがあった。
明るい黄緑色の、ワンピース。
試着しなくてもわかる、あの時私が見た服だ。
「それ買うの? いい色だね」とさやかが言う。
「うん、元気をもらえる色だと思う」
私はワンピースを手に、レジへ向かった。頭はもう、家に帰った後のことを想像している。
今は一人暮らしの部屋に、あの魔法の鏡が置いてある。
このワンピースを着たら、きっと鏡が光る。それからその向こうに、過去の私が見える。
右に左に揺れて、くるりと回ってみせよう。とても幸せそうに。その姿が過去の私に勇気を与える。卒業式の日の夜、泣いていた私に、笑顔を届けよう。
あなたは大丈夫。今は真っ暗な闇の中にいても、これから力強く生きていける。
ママと、未来の私が見守っているからね。
愛しているよ。

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