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昼休みの屋上
本校舎の屋上は、夏休みが明けた9月でも十分に暑かった。
日陰にいれば少しはマシかと思っていたものの、首筋に汗が伝った。
まったく。夏というのはいつ終わるんだ。
不意に髪を揺らした風は、思いのほかぬるかった。耳元を通り過ぎていく風が心地よくて目を閉じた。食後であることも相まって睡魔が襲い掛かってきた。
このまま身を委ねてしまおうかと思い始めた頃、誰かに肩を揺さぶられた。
誰だ、私の眠りを妨げるのは。
重たい瞼を気合いで持ち上げた。知らない男子生徒の姿が見えた。第一ボタンを開け、ネクタイを少し緩めている。うちの高校では体操服以外に学年を判別するものがないから、彼が何年生であるのか分からない。私と同じ1年か、それとも先輩か。
私は欠伸を噛み殺しながら、何の用かと訊ねる意味を込めて首を傾げた。
「大丈夫?」
彼は、はっきりとした口の動きで私の体調を案じてくれた。眉尻を下げて心配そうに私の顔を覗き込んでくる。
重たい頭を無理やり動かして頷いた。
とてつもなく眠たい。今すぐ寝たい。誰かここに布団を敷いてくれ。いや、流石に熱中症になるかな。
「……」
彼が口をパクパクと動かしているけれど、私の瞼は睡魔に負けた。
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