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夜明け前のかくれんぼ
「──2時間48分07秒。またわたしの勝ち!」
「……おれの負けでいいので、降りてきてください」
「やだ。ここまで迎えにきて」
「……」
「そんないやな顔しないでよっ、ため息まで吐いて!」
「……いやに決まってるでしょう。勘弁してください」
朝と夜の色を足して2で割ったようなグラデーションがきいた世界を背に、ジャングルジムの頂上に腰掛ける生意気な女の元まで歩く。
したから見上げると、細く病的なまでに白い手は必死にすがるよう棒を掴んでいた。
指先は赤く、そこからしたは白い。ぶかぶかのジャージで覆われた脚も、心なしか震えている。
それらを悟らせないように、「ほら、見てないで、はやく手貸してよ」と、ツンとしたスタイルを崩さない女に、どこまでも強がりで意地っ張りだと思った。

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