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本棚に追加「……お前が熱だから、強く言えないだけだから」
「それなら、熱が出るのも悪くないですね」
「何言ってんだよ早く治せよ」
「はい」
俺の手のひらに乗る小さな手を握る。
頭痛や体のだるさなんて忘れてしまえるほどに、この瞬間に安堵する。
「……鷹野は、もっと甘えてもいい、と思う」
永遠のか細い声が、俺の心に響いた。
これまで、熱があろうが誰にも悟られないように働いていた。
長男だからしっかりしなきゃと思っていたし、そうでなければ兄妹がまともに生きていけないと思っていた。
確かに、甘えたことってあまりないかもしれないな。
でもそれを、人に頼るのが人一倍苦手な永遠が言ってくれるのか。
「永遠もですよ」
かすかに微笑むと、彼は照れくさそうに目を伏せた。
長いまつ毛が影を落として、そんなことでさえ色っぽく見えてしまう。
こんな近い距離でいられることなんてあまりないからずっと見ていたいのに、瞼の重さに耐えられずに目を閉じた。
眠っている間おでこを冷やしてもらって、ご飯を作ってもらって、手を繋いでくれて、眠って。
この瞬間、確かに俺は永遠に甘えられているのかもしれないな。
やがて、すーすーという静かな寝息が聞こえてくる。
握った手から力が抜けていて、永遠が眠ったということが分かる。
あれだけ俺のことを寝かそうとしていたのに、お前が先に寝るのかよ。
目の下にクマもあったし、やっぱりあまり眠れていなかったのだろうな。
まだ眠いのに、俺の様子がおかしなことに気づいて精一杯の看病をしようとしてくれていたのかな。
寝ないと言っていたのに、手を繋いだことで安心して眠くなったりしたのかな。
そうだといいな。
初めての感情が大きくなっていく。
あぁ、好きだ、こいつのこと。
熱で頭がおかしくなっているとかではない。
明確に、永遠のことが好きだ。
心が和んで、そっと笑う。
永遠がいてくれるおかげで熱があるとは思えないほどに心地良い。
“俺鷹野にもらってばかりじゃん”
ーーいいえ、ちゃんともらってますよ、私も。
ゆっくりと夢の中へと誘われる。
寝苦しさはなくて、ただ永遠と一緒に眠れる幸福感に満たされていた。

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