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「知らないっ! なに言ってんのかわかんないっ!」
叫びながら床に散らばった紙を掴んで、大蛇に投げつける。
けど、大蛇はそんなのどうでもいいって風にただ笑うだけ。
笑いながら棚に背を預け、首を傾げて飄々とした口調で続けた。
「もーそろそろ前の借金は返済しちゃうから?」
「黙れ!!!」
「困っちゃうもんねぇー! 洸の借金無くなったら!」
大袈裟なほど抑揚を付けた口調はわざとらしく、けど的確にあたしを刺激する。
「お前みたく、あの男だってお前自身を必要としてるわけじゃないからなぁ? あの男が欲しいのは神子ちゃんの持ってるお金だもんね?」
「……れ」
「けど、そんなことはどうだっていいんだろ?」
「黙れ……」
「お前はそんなこと百も承知で、だから金が必要になるように謀ったんだもんなぁ?」
「黙れ黙れ黙れっ!」
「金を必要としない人間の前では、金なんてただの紙切れだし?」
「黙れっ!」
耐え切れずに駆け寄って、大蛇の襟を掴み上げた。
そんなあたしにされるがまま大蛇は抵抗すらせず――それどころか顔色の一つすら変えずに口を動かした。
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