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甘やかなくちづけに、
「うーいっ、なにしてんの?帰るよ〜」
「わっ、びっくりした!驚かせないでくださいよ〜もう!」
「初がぼーっとしてるからでしょ」
「でも今のは絶対驚かせようとしてましたよね?」
「ははっ、ばれた?」
「もう!」
振り返ってじーっと睨むわたしを後ろから軽くぎゅっと抱き締めて、悪戯な笑みを浮かべるのは梓先輩だ。
180センチ近い高身長に黒髪、切れ長の二重の瞳、筋の通った綺麗な鼻に薄い唇。 いつみても整っていて綺麗な顔だなあと、羨ましく思う。
梓先輩は同じ学校の1つ上の学年の2年生だ。梓先輩のことを知って、彼と関わるようになってからもう半年近く経つ。
「今日は?」
「うん?」
座っているわたしをぎゅっと抱き締めたまま、顔を覗き込んでくる梓先輩の顔は、振り向いているわたしと、すぐにでもキス出来そうなくらい近い。
返事を求めるその声に、平然を装って答える。だけど、それとは裏腹にわたしの心臓はすごく音を立てている。
いつまで経っても、この距離感には慣れないし、たぶんこれから先もきっと慣れることはない。
わたしのことをじっと見つめて、逸らさないで。と言わんばかりの表情に、わたしは従って視線を交わしたままだ。

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