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…君がさようならを告げて、部屋を後にして、どれだけの時間が過ぎたろう
ただ無機質に、ゴミ袋に君の抜け殻を片付けて、体も心も疲れ切って。
暖かい風呂に入って寝ようと、湯を沸かして風呂場行く。
風呂場には、まだ君がいた頃の痕跡が残っていて、仄かに漂う甘い香りに、目頭が熱くなる。
涙を拭いながら、体を洗おうと石鹸に手を伸ばしたら、視界に留まった、君のシャンプー。
思わず、そのシャンプーのポンプを押して中身を出し、頭につけて洗う。
君と同じ匂いを、君を近くに感じていたくて泣きながら頭を洗って、シャワーで流す。
フワリと髪から漂う、もういない…君の匂い。
この香りが漂う髪に、何度も口づけ、何度も愛してきた。
もう届かない人になったのに、想いは募るばかりで、1人には大き過ぎるダブルベットで、君の事を思い、君の匂いに囲まれて、眠りに落ちた。
他のものは簡単に片付けられたけど、風呂場に残された君の残り香だけは、当分僕は、捨てられそうにない。
愛していたよ。
甘い花の香りが似合う、
僕の可愛い、恋人よ…−
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