―往路での追想―

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幼少の頃がそうだったから、大人になった今でも克樹は自分と他人に壁を作ってしまうところがある。 親しくなるまでにかなりの時間を要するし、付き合い初めてしばらくは、様子見といった感じの付き合い方しかできない。 自分で、きちんと安心できるレベルまで到達しないと打ち解けないのだ。 (臆病なんだろうな…) 克樹はそう、自分でも思う。 だから、自分が好意を抱いていたり、好きなタイプだったりすると、離れたり、すれ違ったりするのが怖いからだろうか、より慎重に、ゆっくり時間をかけないとダメだった。 だが、逆に割り切っている部分もあるから親しくならない人との付き合い方に関しては、克樹はドライであり、そつなくこなすことはできるのだが。
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