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大学を卒業して就職し五年が経っていた。
地元には就職せず慣れない東京での暮らしで時間も経つのも早く、仕事も忙しいとあってなかなか地元には帰れずにいた。
それでも親しい友人達とは連絡をとっており、親友の大輔からも先日メールで、お盆に飲み会やるから今年は必ず帰ってこいよ!と言われていたところであった。
(しょうがない、たまには帰るか…)
最近は仕事も前ほど忙しくないから休暇を取るのは無理ではないだろうし、友人達とも久しぶりに語りたい、実家の両親にもたまに顔を出してやらないと。
そう克樹は思ったのだった。
「姉貴には別に土産買っていかないとぶつぶつ言われそうだな…いい日本酒でも買ってくか…」
克樹には二歳年上の姉がいた。
姉の睦月は小さいころから面倒見が良く、共働きだった両親の代わりに克樹と一緒に遊んでくれたりもした。
克樹が就職する前には、地元での仕事を辞めて実家で両親と暮らしていた。
お酒が大好きで酔うとよく克樹に絡んでくるし、大雑把だったり、少しおせっかいな所もある。
けれど克樹はそんな姉が嫌いではなくむしろ慕っていた。
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