―序章―

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そんなやりとりを聞いていたのか聞いていなかったのか、横を通った葉子が克樹に突っ込みを入れてきた。 「なににやにやしてるの?なんかいい事あったの?彼女と旅行でも行くのかな?」 やはり、ちゃんとやりとりを聞いてはいなかったようだ。 「葉子さん、聞いてなかったんですか、実家に帰るんですよ、お盆だから。」 「あら、てっきり彼女と旅行だからにやにやしてると思ったのに…んー違ったか!じゃあ実家でお見合いとか?お父さん、お母さんも早く初孫見たいから克樹よ、頼む。とかさぁ。」などと勝手に一人で話を進めている。 葉子は克樹の一年先輩で職場のムードメーカーであり、仕事もバリバリこなす人だ。 いつもテンションが高めなのは少し戸惑うところで、黙っていればかなり美人だと克樹は密かに思うのだが、よき先輩であることは確かだ。
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