第一詩~予感~

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まったく迷惑な話だ。 だが世界を守るためと言われては抵抗のしようがない。 アタシがサボっちゃったら世界が危険にさらされるわけだしね。そう毎日思ってはいるんだけど……。 その時不意にローニャの足が止まった。 『どうしたの?』 アタシが何気なく聞く。 するとローニャは普段はほとんど見せないような真剣な面持ちで言った。 『イクシア……。』 『何?改まって…。』 アタシは不思議に思って聞き返す。 『ちょっと大事な話が……祈りが終わったら部屋にうかがいますので……。』 『え?う、うん……分かった……。』 大事な話ってなんだろうと思いながらもアタシはあえてそれ以上は追求しなかった。 今話せることならわざわざ部屋に来る必要はないって分かっていたから。 長い長いお祈りが無事終わり、アタシは疲れ果てて自室のベッドに倒れこんだ。 『気持ちいい…。』 思わず独り言をもらす。 ただお祈りをするだけなのにえらく疲れる。 これが封鬼の"力"を使うということなのか…それがどうであれアタシには自分の命を削られているようであまりいい疲労感とは言えない。 しばらくしたらローニャが来る。 それまで少し寝ておこうと思い、アタシはそのまま微睡みに飲まれていった……。 何時間経ったのか……アタシは鐘の音で目を覚ました。 それはけしてアタシの部屋の壁掛け時計の音ではなかった。 アタシの部屋の外、いや、もっと遠くから響く音……荘厳な、どこか暖かい鐘の……始まりを告げる音……そんな予感がしたのだった…。
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