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『……イクシア……』
少し間をおいてローニャがまた話し出した。
『私もあなたと同じ気持ちです。』
『………どういう意味……?』
アタシは涙を必死にふいてローニャを見上げた。するとローニャはゆっくり背中を向けて囁いた。
『イクシア……逃げましょう。』
『は!?』
アタシは一瞬泣くのも忘れて呆然とした。
『逃げましょう……もうこれ以上祈りを続けたところでアフェクターが地上に出てくるのももはや時間の問題でしょう。上官達は祈りの時間を増やすなどの対処をするでしょうけどね。』
『でもそれじゃあみんなが……』
『まあ落ち着いて聞いてください。私たちは何もただ現状から逃げ出そうってわけじゃありません。このままじゃ世界は崩壊の危機を迎えるでしょう。だから探すんです。イクシアのせいとは言いませんが、それが唯一私たちにできることだとは思いませんか?』
こういう時にこそ落ち着いて考えることができるローニャ。
アタシは心の底から尊敬している。
『そうね……このままじっとはしていられないわ。でもどうやってここから出るの?』
アタシがそう言うとローニャは少し振り返りながら微笑んで言った。
『私に考えがあります。今日の23時にもう一度部屋に来るのでそれまでに準備をしていてくださいね。』
そう言い残すとローニャは部屋を出ていった。
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