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他に客がいないのを見計らって、紅茶を差し出す。彼女はカウンター越しに驚いた顔を向けてきた。
「え、どうして……」
「申し訳ありません。いつも悲しそうなお顔をされているので、少しでもお気持ちが紛れるようにと」
残っていた怪訝さは、苦笑に変わる。
「土日の夕方にいつも、こちらにお邪魔してますものね。ごめんなさい、辛気くさくて」
「通っていただけて嬉しいですから、お気になさらないでください。私も出過ぎた真似をいたしました」
無駄に鼓動を打つ心臓を押さえたい衝動に駆られながらも、軽く頭を下げる。
「いえ、ありがとうございます。……本当に、ほっとしましたから。まろやかですし、香りもすごくいいですね」
「そう言っていただけて嬉しいです」
「私、お砂糖なしのミルクティーが一番好きなんですけれど、この紅茶もすごく好きになりそうです」
柔らかな笑みを向けられて、自然と口元が緩む。
本当によかった。事情はわからなくとも、今は彼女の助けになれることが一番の喜びだ。

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