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本棚に追加 フルジア王国の片隅にある小さな屋敷。その窓辺で、一人の少女が夢を見ていた──女性でありながら竜騎士になるという夢を。
「お兄ちゃん、その子、だいぶん大きくなったね!」
サラは、兄であるアベルの肩越しに小さな竜の雛を覗き込んでいた。
黒い鱗に覆われたその生き物はアベルの腕の中でゆったりとくつろいでいた。
時折、鼻から小さな煙を吐き出しては、アベルたちを笑わせていた。
「ああ、早く大きくなってほしい。俺よりも大きくな」
アベルは、瞳に夢を浮かべながら言った。
「そうしたら、俺はこいつに乗って一緒に空を飛ぶんだ」
兄の言葉を聞いていたサラの胸の内では、羨望の炎が燃え上がっていた。
竜騎士になるためには、雛の頃から竜を育てて、絆を深めておく必要がある。
アベルが竜の雛を大事に育てている姿を見るたびに、サラも自分だけの竜が欲しいと思わずにはいられなかった。
「私も竜騎士になりたい!」
ある日の夕食の席で、サラは宣言した。
静まり返る食卓。
父親はナイフを置くと、厳しい目でサラを見つめた。
「女が竜騎士になった例はない」
父は静かに言った。
「女だからダメだなんて、そんなのひどい!」
サラは食い下がる。
「お兄ちゃんと同じように、私だって竜とお友達になれる」
「無駄な夢を追うんじゃない」
父は首を振った。
「お前はアベルの真似事などしなくてよい。女には女にしかできぬこともたくさんある」
* * *
サラは諦めなかった。
毎日毎日、食卓で、庭で、あらゆる所で、サラは竜騎士になりたいと父に訴え続けた。
その熱意は日に日に強くなっていった。父の厳しい表情には徐々に変化が現れた。

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