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プロローグ
「あー…お腹痛い。もう帰ろっかなー…」
朝っぱらからこんなヘタれた台詞を吐いているのは他でもない、僕こと霧島彰人だ。
私立の高等学校の教室。それが今、僕が居るところ。更に言えば現在は朝のHR中だ。…本来なら。
「おまえ、いつもそればっかり言ってないか…?」
僕の呟きに苦笑混じりに返答を寄越したのは、後ろの席に座っている大原冬也(オオハラ トウヤ)だった。
こいつとは幼稚園からの付き合い、言うなれば幼馴染みと言うやつである。
「気のせいだろ…」
いちおう返事をして後ろを振り返る。と、無駄に整った顔立ちが目に入った。
大原は首を捻り、
「いや…気のせいじゃないと思う…」
とか何とか呟いているが、それは軽やかにスルーしておく。
「それよりさ…」
僕は後ろを向いたまま大原に話しかけた。
「先生、遅くね? …まぁ、いつもの事だけど」
そう、僕らのクラスの担任はいつもHRに遅れてくるのだ。
「…それで納得して良いのか…?」
いちおう辺りを気にしているのか、控え目な声で返してくる大原。
周りが騒がしいので意味があったかどうかは不明だが。
「仮にも先生なのに…」と続ける大原。
普通に考えて駄目だろう。が、
「良いんじゃね?」
どうせ来たって適当だしな、あの先生。
「まぁ…あの先生だしな…」
そう言ってまた苦笑する大原。
しかしまぁ…今日は一段と遅いな。何かあったのか…?
ま、僕には関係ないけど。
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