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溜め息を吐きつつ隣の席に目を遣る。すると案の定、こちらを向いて…いや、睨んでいる女生徒─早川愛美(ハヤカワ アミ)と目があった。
「鼻の下伸びてるわよ」
開口一番でそれか。
「何よ、悪い?」
ギロリと睨まれた。
怖い…が、ここで退いては男がすたる…!
「何で怒ってるんですか…?」
思わず敬語になってしまった。
…何だよ…仕方ないだろ? そんなヘタレを見るような目で僕を見ないでくれ!
「別にっ!!」
力一杯怒鳴られた。…何か理不尽じゃないか?
って言うか他のクラスに迷惑だろ。
「んー…仲がよろしいことで…」
ツッコもうか迷っていると、クスクスと笑いながら冬也が首を突っ込んできた。
これが仲がよろしいように見えるなら、おまえの目は腐ってる。ああ、腐ってるとも。
「はーぁ…」
そっぽを向いてしまった愛美とニヤニヤしてる冬也は捨て置くとして、あっちはどうするかな…。
双神久遠を見ると、既に愛美の後ろの席─いつの間にか空いていた─に着いており、で、何人かに質問されていた。
曰く、
「何処から来たの?」だの、
「転校の理由は?」だの。ま、妥当な質問かな。
そして双神久遠は、そのすべてに曖昧に答えていた。
「怪しい…」
言ってから気づいた。
しまった、またちょっかい出される。
「アンタがね」と愛美。ほーら来た、予想通り。
「僕のどこが怪しいって言うんだよ? 何処からどう見ても普通だろ?」
サラリとかわす僕。うむ、我ながら上出来だ。
予想してれば狼狽えることなんてないのさ。
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