プロローグ

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「なーんもついてなかったぞ?」と冬也。 「死ね、阿呆」これは愛美だ。 …それ、女の子の台詞か? まぁ、それは置いとくとして… 「……」 おかしい…何故こいつらには見えないんだ? 不審に思った僕は、クラスを回って質問してみることにした。 もちろん、双神久遠に怪しまれないように言動には注意を払う。 質問は、双神久遠の背中に何か見えなかった? だ。 が返ってきたのは、 「見てない」 「見えない」 だった。 何だこれ…本当に僕の頭がおかしくなったのか? クラスを回っているときに見たけど、やはり双神久遠の背中には羽がくっついていた。 どうして僕にしか見えない…? よくわからなくなって頭を抱えていると、HR終了の鐘が鳴った。 「何なんだ、いったい…」 何もする気が起きず、机に突っ伏す僕。 結局、その日の授業にはまったく身が入らなかった。 ま、いつも通りだけど。 そして、事件は放課後に起きた。 忘れもしない、五月の……えーと、中旬あたり。 この日最後の授業を終え、たらたらと帰宅の準備をしていた僕。 そうしていると、高校生活も後二年足らずで終わりと言うことを思い出す。 一年間はあっと言う間に終わってしまい、たいして思い出も残らなかった。 だけど、気を許せる友人も何人かできたし、これはこれで幸せなんだろう。とかなんとか考えていたからか、いつの間にか皆帰ってしまっていたことに気がつかなかった。
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