7人が本棚に入れています
本棚に追加
/12ページ
「なーんもついてなかったぞ?」と冬也。
「死ね、阿呆」これは愛美だ。
…それ、女の子の台詞か?
まぁ、それは置いとくとして…
「……」
おかしい…何故こいつらには見えないんだ?
不審に思った僕は、クラスを回って質問してみることにした。
もちろん、双神久遠に怪しまれないように言動には注意を払う。
質問は、双神久遠の背中に何か見えなかった? だ。
が返ってきたのは、
「見てない」
「見えない」
だった。
何だこれ…本当に僕の頭がおかしくなったのか?
クラスを回っているときに見たけど、やはり双神久遠の背中には羽がくっついていた。
どうして僕にしか見えない…?
よくわからなくなって頭を抱えていると、HR終了の鐘が鳴った。
「何なんだ、いったい…」
何もする気が起きず、机に突っ伏す僕。
結局、その日の授業にはまったく身が入らなかった。
ま、いつも通りだけど。
そして、事件は放課後に起きた。
忘れもしない、五月の……えーと、中旬あたり。
この日最後の授業を終え、たらたらと帰宅の準備をしていた僕。
そうしていると、高校生活も後二年足らずで終わりと言うことを思い出す。
一年間はあっと言う間に終わってしまい、たいして思い出も残らなかった。
だけど、気を許せる友人も何人かできたし、これはこれで幸せなんだろう。とかなんとか考えていたからか、いつの間にか皆帰ってしまっていたことに気がつかなかった。
最初のコメントを投稿しよう!