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教室に残っているのは僕一人。…だと思っていたのだが──
「ねぇ」
「うひぇえっ!?」
突然背後から声をかけられた。
間抜けな奇声を発しながら慌てて振り返る僕。
目に入ったのは新品の制服を着た二人の可愛らしい女子生徒だった。
その二人は、顔立ちも纏っている雰囲気もまるで違っていたが、二人並んでいると全然似てない双子のように見えてこなくもない。
「あんた、私の事嗅ぎ回ってたでしょ」
今しがた僕に声をかけた方の女生徒─双神久遠が、腕組みして僕を睨んだ。
もう一人の方は、なんだかオロオロしているように見える。
「…気のせいじゃない?」
その様子を横目で眺めつつ答える。すると、
「シラを切るつもりなのね?」
にわかに双神久遠の瞳に危険な光が宿る。
「…少し痛い目にあってもらおうかしら」
妖艶な笑みを浮かべる双神久遠。状況が状況なら見惚れてしまいそうだ。
ってかHRの時と性格変わってないか?
「な…何を…」
じりじりと後退りする僕を、ゆっくりと追い詰める双神久遠。
首の後ろ辺りがチリチリする。嫌な予感が最速力で身体中を駆け巡る。
「ダメ…久遠…っ」
が、女生徒A(仮名)が弱々しい声でそう言い、僕と双神久遠の間に割り込んできたことによって、僕は事なきを得た。
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