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「…双子?」
「あ……いえ…」
「違うわ」
「え…? じゃあ偶然名字が同じなだけ?」
「そんなわけないじゃない」
一蹴された。
「じゃあ何なんだよ…」
「あなたには関係無いわ」
…会話をしている気がしないのは僕だけか?
「はぁ…まぁいいや。どうせその通りだし」
「あら、意外と物わかりが良いのね」
会話を続ける努力を放棄しただけだ。
僕は溜め息を吐き、どうしたものかと頭を抱える。
「あの…聞きたいことって…?」
そんな僕を見かねたのか、刹那がおずおずと声をかけてきた。
おぉ、危うく存在を忘れるところだった。
「あ、そうだった。えと、君達の背中の羽って…何かのコスプレ?」
──時が、止まった。
しまった、つつき方を間違えたか…?
二人は目を見開いて僕を見ている。正直、ちょっと怖い。
「えー…と……」
非常にいたたまれない空気になってしまった。
なんとか脱出を図らねば…
またもや頭を抱える僕に、二人は言った。
「あなた…私達の羽が見えるの?」
「そんな…どうして…?」
二人が異様に真面目な表情をして僕を見る。
ん…? なんだこの反応。
「見える? …って…普通見えるだろ。僕はそんなに視力悪くないよ」
軽く笑って言う僕。
後に、こんな事言うんじゃなかったと後悔することになるのだが、そんなもん一ミリたりとも予想していなかった。
って言うか予想なんてできるわけねーだろ。
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