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“ 虚しさや 数多の人の 血を浴びて 怨みの力 鬼と化す ”
妖艶な姿は赤き月に照らされ、更に妖しく悍ましい鬼の姿に見える。
友里はくすりと笑い、かちゃりと刀を下に下ろしまた、天に翳す。
天に翳された鋭い刃は、月光に照らされ血が深紅に輝く。
血は地面に滴り落ち、庭に敷かれた玉砂利を赤くする。
手に雫として落ちた血を、赤い舌を出し…艶かしい顔付きで、皆(みな)に見せびらかす様に舐める。
周囲の人達は、がたがたと震えながらその姿を見つめる。
何かにとり憑かれた様に…人々は友里に魅了されてしまう。
友里は刀を、己が傷を負わせた検非違使(けびいし)に向けた。
『サァ…お前ノ命と鮮血ヲ…頂コウカ…』
友里の声色が、修羅と交じり合い凶々(まがまが)しい声色に変わっていく。
検非違使は、地面に座ったまま傷を押さえ後退りをする。
『と…友里殿!』
ずるずると、後退りをしながら刀を構え防御に入る。
友里はくつくつ喉の奥で笑うと…
『無駄な足掻(あが)きを…無様な物だ…フフフッ…』
そう呟きながらゆっくり…検非違使に近付く。
検非違使は、恐怖で刀を持つ手が震える。
近付き刀を構え、振り下ろそうとした…その時っ!
しゅんと何かが飛んでて、友里の手に当たる。
友里は刀を落とし、飛んでた方向を見た。
そこには、素早く壁を飛び越えて現れた晴明だった。
『晴明!!来たか!』
忠行は晴明に声を掛け、また封じられた扉に術をかける。
『お師匠…遅くなり申し訳ありません。』
そう言うと晴明は、友里に見る。
『…小癪(こしゃく)ナ小僧…』
友里は、ちいっと舌打ちをし晴明を睨み付ける。
晴明は冷酷な目付きで友里を見る。
『お主…その魔の力を今すぐ捨て去れ…。身を滅ぼす。』
晴明は友里を見据えながら言う。晴明の冷静沈着な態度が気に障り、わなわなとする。
『貴様ニ何が解るカ!こわっぱがっ!!』
地に落とした刀を素早く拾い上げ、叫びながら晴明に襲い掛かる。
“ 人の想いとは…時に正になり…時に牙を向く魔になる…人間は難儀な者… ”
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