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“ 理性が嘆く…己の罪に。全てが支配されてはいなかった…心の奥に残されたほんの少しの理性が…輝く ”
友里は泣き崩れた。
後悔の念に苛まれ…苦しみにもがく。
己がした罪は…計り知れない程大きい物。
取り返しのつかない罪が…友里の身体と心を後悔の念が支配してゆく。
『友里様…』
同じ様に涙を流し、今まで友里に強いられて来た苦しみや悲しみ…後悔が、雅の心を突き刺す。
人とは…愚かで…儚い…。
苦しみから解放されたいが為に…誤った選択をしてしまう。
独りで…苦しみ悩み痛みを受け続け…誤った思考になってしまう。
雅は友里の手を握る。
その時っ!
友里が突然苦しみ出した。
『うあぁ…!!』
頭を抱えのたうち廻る。
周囲の人々は驚き騒ぎ始め、晴明が友里に近付く。
雅は苦しみ叫び続ける友里の手を握る。
『友里様っ!!』
雅は涙を流し懸命に友里に呼び掛ける。
だが…友里は雅の手を離そうとする。
『何故です!?友里様!』
雅は叫ぶ。友里は脂汗を流しながら雅に苦しいのに笑いかけながら…
『…あ、貴女様を…け…穢れさせ傷付けては…ならない…。私……から…お離れ…下さい…。さぁ…将文殿…雅様を…!』
そう優しくも苦しみながら、友里は雅に言う。
将文は友里の言葉に頷き雅を、離れさせ様とするが雅は泣きながら嫌がる。
晴明は友里の内に居る悪鬼に向け、印を結び術を唱える。
すると、友里は更に苦しみ出した。
『晴明様っ!友里様がっ!』
雅はまた友里に駆け寄り晴明に言う。
晴明は、ちぃっと舌打ちをした。
『友里を喰らうつもりか…!悪鬼っ!』
晴明は懐に忍ばせてあった符呪(ふじゅ)を出しそれを友里の背に向け投げ、術を唱える。
すると…!
友里の苦しむ声色が、修羅と友里と二重になる。
『…オのレ…オノレッ!!上手ク…イッテおったノニ…!!人間ノ理性ヲ蘇ラセオッて!!』
友里は頭を抱え叫び出した。
瞳の色・形が…鬼の様に赤くぎょろりとしていた。
“ 理性捨てずにいたこの男は…愛した片思いの女人に…笑みを浮かべ…憎んでいた男に託す… 悲しき男… ”
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