~ 第三十一花 絶望の血 ~

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“ 絶望の血の雨が降る…。流さなくてもいい血が流れゆく…人々の泣き叫ぶ声が…脳裏に響き渡る ”             腹を突き射し、鬼と化した修羅の腕は、背中に突き抜け血が滴り落ちる。 飛び散った血は、下に居た人々にかかる。 顔を拭い見ると…深紅の血がべとりとついている。   『ひ…ヒィィィ…ッ!!』   修羅は、にやりと不気味に笑うと勢いよく腹から抜き去る。 男は既に息はない…。 目を見開いたまま…瞳孔が開き何処を見つめているか解らない目線だ。 男は、修羅の術が解かれ…どさりと地面に落ちた。 糸が切れた人形の様に、地面に叩き付けられる。   人々は悲鳴を上げ逃げ惑う…が、扉は閉ざされたまま開かない。 どんどんと叩き、助けを求める。   『た、助けてくれッ!!』   人々は叫び恐怖の涙を流す。 晴明と忠行は、修羅を睨み付ける。   『悪鬼……黄泉に送ってやろう…ッ!』   晴明は、符呪を投げる。 が…修羅は符呪を大きな手で掴み握り潰した。にやりと修羅は笑みすると、符呪は炎になり燃えた。   『陰陽師ヨ……我ニハ効カヌゾ…ハハハハッ』   そう言うと、修羅は素早く晴明の元へ飛ぶと、晴明を蹴り飛ばした。   『ぐっ……ッ!』   晴明は庭の塀に飛ばされ身体を叩き付けられ地面に身体を崩す。   『…人間トハ…愚カナ虫ケラヨ…闇…コノ世モ…闇ニシテヤロウ…フッフッフ…』   そう言いながら、先程刺した男の血が付いた手を舐める。 晴明は、身体を起こし立ち上がる。   『虫けらとは…お前の事だ。お前はもう…この世の者ではない。すぐ消えよ…』   冷たく笑いながら言うと、修羅は歯を食いしばりながら、晴明を見る。   『小癪(こしゃく)ナ…陰陽師ノ小僧……!』   大きな手を握り修羅は、目をぎょろつかせながら晴明を睨む。 晴明は、ふっと鼻で笑い…   『御褒めに与り光栄だ…悪鬼よ…。さぁ………漆黒の地獄へ…送ってやろう…』   涼しげな顔だが、瞳の奥に怒りの炎を燃やしながら言う。           “ …漆黒の地獄が…悪鬼を待っている…。さぁ……地獄の演舞を楽しもう… ”
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