~ 戦舞 (センブ) ~

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“ 地獄の炎と正の炎が、赤々と燃える。双方の炎がぶつかり合い…激しい火花を散らす… ”             修羅は、歯をぎりぎりと鳴らしながら晴明を見る。   『…ソノ強気…イツマデ続クカ…ユクゾ!!』   修羅は落ちていた刀を持ち、晴明に襲い掛かる。 刀を晴明目掛け振り落としたが、晴明は狩衣の袖で交わす。 修羅は不気味で、余裕ある笑みを浮かべ晴明に襲う手を休めない。 素早く動き、交わされても交わされても手を休まず、晴明を追い立てる。 晴明は袖で交わしたり、空に浮き移動をする。 尚も修羅は、攻撃を止めず襲い掛かる。 晴明は狩衣の袖だけでは交わせないと思い、腰にさしてある小刀を抜く。 修羅は、その様子に可笑しそうに笑い始めた。   『陰陽師ノ小僧…ソンナ小サキ刀デ我ヲ仕留メラレルノカ…?片腹痛イワ…ハッハッハ!』   大声で笑い、晴明を見下した。 晴明は、冷ややかな目をし鼻で笑う。 その態度に怪訝そうに晴明を睨む。   『戦いを好み…血を欲する悪鬼が…格好にこだわるとは…フフッ…奇妙な話だ…』   晴明は修羅を見ながら狩衣の袖で、口元を隠し妖艶に笑みした。   『…小僧…ッ!!』   怒りを燃やし修羅はまた襲い掛かる。 刀と刀が交わり、金属音が響き渡る。   忠行は、修羅の妖術で閉ざされた扉を呪(まじな)いで、懸命に解こうとしていた。 周囲の者達は、恐ろしい地獄の鬼修羅と正の若き陰陽師晴明の戦いを、震えながら見ている。   何処か…舞いの様に華麗に晴明は交わしてゆく。    『ハァーッ!!』   修羅が振り下ろした刀が晴明の腕を裂いた。狩衣の布が風で舞い微かに血が滲み出る。 晴明は腕を軽く押さえた。   『陰陽師ノ小僧ヨ…遊ビハココマデタ…!』   そう叫びまた刀を振り上げた。         “ 戦いを好み…血を欲する鬼と…刀を華麗に舞う様に交わす…正の白孤の子… ”
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