149人が本棚に入れています
本棚に追加
“ 刀の火花が散り…男は舞いを舞う様に華麗に交わしてゆく…正と悪の戦いは続く… ”
空を裂く様に、刀が振り下ろされる…。
が、晴明は、ごろりと地を転がり刀を交わす。
『チョコマカ…シオッテ…』
ぐぐっと歯を噛み締め悔しそうに呟く。
晴明は体制を取り直し、符呪を取り出しぶつぶつと呪(まじな)いを唱え、修羅の胸へ向け投げる。
符呪は飛んでゆき、修羅の胸に貼るつくと赤き炎に罷(まか)れる。
『グワァァァァ…!!!』
修羅は、叫び声を上げた。
炎は強く燃え上がり、修羅を取り巻く。
聖なる炎に焼かれ、修羅の身体は焼けどろどろと溶ける様に、肉が地に落ちる。
『ギャァァァァ…!!』
周りには肉の焼ける臭いが立ち込め、鼻につく。
晴明は空(くう)に、五芒星を描き呪いを施すと五芒星を飛ばした。
五芒星は、修羅へと飛び光ると 修羅を鎖で縛る様に動かなくした。
『…ガァァ…小僧…ッ!!』
呪縛された修羅は、炎に罷れ動けない身体を必死に動かそうとする。
その時、妖術によって閉ざされた扉は妖力が弱まり始めた。
忠行は、力を印に込め汗を掻きながら呪いを唱え“ハァッ!!”と声を張り上げると、扉が開き周囲の者達を忠行は誘導し逃がす。
周囲の者達は、悲鳴を上げ逃げてゆくが、帝は動こうとしない。
『帝…さぁ、御逃げ下さい!危険でございます!』
帝の側近や何人かが声を掛けるが、帝は目を閉じ微動だにしない。
すると…ゆっくりと帝は口を開いた。
『我は、京を納める者…逃げる等出来ぬ!』
真っ直ぐな瞳をし帝は言った。
“この京で戦う者達を置いて、我は逃げる事は出来ぬ…。見届けるのが…我に出来る事だ ”
最初のコメントを投稿しよう!