~ 第三十三花 新たなる力 ~

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“ 我ニ…力ヲ…。新タナル…力ヲ…授ケヨ…コノ世ヲ…滅ボス力ヲ… ”               呪縛で動けなかった片腕は、身体中の力を込めやっと壊す事が出来た。 晴明は睨み付け構える。 修羅は、喉の奥でくつくつと笑い始めた。   『コノ様ナ…力如キデ…我ヲ捕ラエタツモリカ…。片腹痛イ…。』   低く喉の奥で笑うと、もう片方にも力を込めた。   『ハァァァァ…。グオァァァァ…!!』   身体全体に力を込めると、もう片方の腕の呪縛も、ぴきぴきとひび割れ始め…仕舞いには、がしゃりと完全に砕け散った。 破片が天から降り注ぎ、きらきらと光りが反射する。 皆(みな)眩しくなり、目を細める。   『タヤスイ事……サァ…我ノ新タナ、力ヲ…見セヨウゾ…!愚民ドモ…見ルガイイ…』   そう言うと、両手を広げ唸る始める。 “グゥゥゥ…”と獣の様に唸り…広げた両手には、どす黒い気が集まり始めた。 強い風が吹き荒れる。 篝火(かがりび)の火が、風に煽られ火の粉と飛ばし、ぱちぱちと音を立てる。 雅は、母の形見の鈴を握り締め祈りを込める。   “どうか…皆を御守り下さい”  儚く切ない祈りは届くのだろうか…。   晴明はまた符呪(ふじゅ)に呪(まじな)いを込め修羅へと飛ばした。 符呪は、修羅の額に張り付き修羅は手で符呪を潰した。 赤く燃え符呪は消えた。   『愚カナ陰陽師ノ小僧…フハッハッハッハ…無駄ヨ無駄無駄…諦メヨ…』   そう言いながらも、力を溜めてゆき…身体を震わせ始めた。   『グワァァァァァ!!』   叫び声を上げると、修羅の目は深紅に光り黒い霧に包まれた。 霧が晴れ始めると…修羅は高笑いをし始めた。 修羅の姿は…先程とは違い… “鬼神”の様になった。   『力ガ…漲(みなぎ)ル…』           “ 更なる力が…修羅に加わる。この運命を変えられるのだろうか…… ”
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