~ 変幻 ~

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“ コノ…力ヲ…手ニ入レタ…。我最強也(なり)…我ニ勝テル輩等イナイ…サァ…血ノ雨ヲ…コノ京ヲ…破滅シテクレヨウ… ”            『力ガ…漲(みなぎ)ル…ハハハハッ…モット…モット…我ニ力ヲ…ッ!』   腕(かいな)を広げ…大地に眠りし、未練を残す哀れな魂達が騒ぎ出す。 不気味な叫び声が響き渡る。   『ワァァァ…グオォォォ…』   と不気味に叫び、魂が暴れ出した。 黒き光が空(くう)を飛び、修羅に集まる。 哀れな黒き魂は、人を襲い出した。 人々の周りを飛び叫び声を上げ、人々は恐怖に震える。   『キャー!助けて!』   ふわりふわり浮いて飛ぶ魂や素早く解き放たれた事に、歓喜の声を張り上げる様に飛ぶ魂もいる。 修羅は低く笑うと、一つふわりふわりと飛び魂を喰らう。 魂を上手そうに喰らった修羅は、変化を始める。 修羅が変化をしたのは…戦いに敗れ殺された武士の姿に変わった。   『悔しや…悔しや…』   そう低い声で呟き、晴明に襲い掛かった。 晴明は素早く小刀で交わした。 がしゃんと刀が交わり、ぎりぎりと火花と音を立てる。   『口惜しや……!』   ぶんぶんと刀を振り下ろす音を立てながら、晴明や周りの人間達に襲い掛かる。 一人の検非違使は、刀を交わそうとしたが修羅の力が強く交わす事が出来ず、腹を一突きされた。   『グハァッ!!』   血を吐き息絶え絶えになる。 修羅はにやりと笑うと、刀をぐりっと回した。   『グワァァッ!………。』   腹の中で、刃が暴れ…検非違使は生き絶えた。 検非違使の骸を捨て置き、また浮遊する黒き魂を喰らう。 修羅の身体がまた変化し始めた。 修羅の姿は…狼の様な野犬に変わり素早く走ると忠行に襲い掛かる。忠行は、狩衣を爪で裂かれたが無事だった。 晴明は忠行の元に駆け寄る。   『御師匠ッ!』   晴明は駆け寄り忠行の身体を起こした。   『大事ない!さぁ、あやつを止めねば!』   と起き上がり、印を結ぶ。       “ 力を得た悪鬼は…魂を喰らい変幻(へんげ)してゆく…悍ましい笑みを浮かべながら… ”
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