~ 第三十四花 哀れな魂 ~

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“ 哀れな魂は…悪鬼に喰われ虚しい力に変わる。この世に未練を残した魂は…その心を弄ばれ…また…虚無の抜け出せぬ闇へと…迷う ”               狼の様に変化した修羅は、忠行に襲い掛かるが失敗した。 忠行は、印を結び呪(まじな)い 施した符呪を哀れに浮遊する魂に飛ばす。 魂は…人型になり忠行に…   『有難う…これで安らかになれます…。』   女人になった魂は、安堵と感謝の笑みを浮かべ…天に飛び数多(あまた)の星の仲間になった。 修羅は、苦虫を噛み潰した様に顔を歪ませ、また近くに浮遊する魂を喰らった。   魂を喰らった修羅は、狼からまた武士に変わり忠行と晴明を襲う。 その時ッ!   ガシャンッ!   忠行と晴明の前に、将文と友里が立っていた。 将文の刀が修羅の刀を交わし、友里が自身の刀で修羅の腹に斬り付けた。   『グァァッ!』   晴明と忠行は、体制を立て直す。   『すまない、助かった。』   晴明は二人に御礼を言う。   『お二方、手をうちましょうぞ!』   友里は晴明と忠行に言う。 晴明と忠行は頷き、符呪を用意した。 修羅は、足を崩して腹を押さえる。   『オノレ……友里ッ!裏切ルノカ!』   修羅は腹を押さえ唸り声を上げながら友里をぎろりと睨む。   『私は…罪を犯したくない!罪を償わねばならぬ!』   友里は刀を構える。 晴明は五芒星を空(くう)に描き、呪(まじな)いを呟き修羅目掛け飛ばす。   『グワァァァッ!!』   修羅は五芒星に囚われた。 蜘蛛の糸に昆虫がかかった様に…貼付けられる形になった。 でも、修羅は魂を喰らうのを止めず口を開け吸い込む様に魂を喰らう。 哀れな魂達は、泣き叫ぶ様な声を張り上げる。 晴明と忠行は、哀れな魂達を救うべく呪(まじな)いを唱える。 逃げ惑う魂達は、晴明達の呪いに誘われ淡い金色の光りに包まれた。   『…有難う…』   魂は涙を流し、数多(あまた)の星になり輝き去っていく。 でも、修羅は止めなかった。       “ 哀れな魂は…泣き叫び…救いを求めた。完全なる悪鬼にはなりたくないと… ”
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