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“ 修羅が抱える数多(あまた)の怨み・辛(つら)みが連(つら)なり…鋼鉄の鎖になる。修羅と修羅に絡まる怨みの鎖は…今まで癒える事なく…闇をさ迷い…人の怨みをも喰らい…己の悪なる鎖になる… ”
修羅は唸り身体のあちらこちらからは、絶えず血が流れ出る。
痛みと己の心と身体を見えない鎖が邪魔をする。
『煩イ…!娘…!』
グゥグゥと獣の唸り声を上げ苦しみながら叫ぶ。
雅はそんな修羅をも、見捨てる事が出来ずに声を掛け続ける。
怖くて…怖くて仕方がないのに…。
ゆっくり…ゆっくり、震える身体を隠しながら修羅に近付く。
『雅殿!!』
将文が雅に必死に駆け寄り、止めに入る。
『危のうございます!近付いてはならない!』
将文は必死に雅を説得する。
が……雅は、優しく微笑み
『将文様…大丈夫です。将文様や皆様が、無事である事がわたくしの望み…。苦しむ悪鬼も…見捨てられませぬ…。皆様が無事なら…。』
そう優しく微笑みながら言うと将文の腕をやんわりと解いた。
将文はそれでも止める。
友里も雅に駆け寄り止める。
『御止め下さい!雅殿!』
必死に止める友里にも優しく微笑む。
『友里様…わたくしは大丈夫です。』
雅はまたゆっくり…ゆっくり修羅に近付く。
『貴方は…何に苦しんでいるのです?』
唸りながら修羅はまた雅を見る。神々しい光りを放ち…雅は近付く。
その姿に…修羅はぎょろりとした目を見開いた。
“ 見覚エノアル顔…其方(そなた)は … ”
“ 修羅が見た雅の姿は…… ”
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