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“ 桜吹雪 冷たき君の 髪揺らす花びら散りて 骸に落ちる ”
その優しい雅の涙がまた…修羅の心に突き刺さる刺を抜く。
『其方(そなた)ハ…優しイ姫だ…鬼ニ喰らわれた我ヲ…癒してくれる…何故だ?』
大きな修羅の鬼の眼(まなこ)からも、涙が零れ頬を伝い落ちる。
『貴方様は…悪い方ではありませぬ。とても…人を愛してやまぬ…器の広き御方です。』
雅は、修羅の手を強く握り優しく微笑んだ。
その微笑みがまた…菖蒲を思い出させる。
そして…修羅はまた口を開いた。
『…三日夜の最後の夜…我は、姫の屋敷に出向いた。そこで見たのは…』
修羅は、苦しそうに唾を飲み込み話そうとする。
唇をかたかた震わせながら、口を開こうとするが、恐怖感と絶望感と怒りでなかなか話せないでいる。
周囲の人々も、その痛々しい修羅の姿に苦しげな表情を浮かべ待つ。
『蒼助様…ゆっくりで構いません。』
もう片方の手を修羅の手に重ねる。
そうすると、修羅は苦しい…痛々しい表情をしながらまた唾を飲み込み口を開いた。
『…屋敷の門を開け…声を掛けた。掛けたのだが…誰の声も聞こえぬ…おかしいと一瞬で気付いた。玄関の戸を開けた…その時…嫌な気配がした。空気が重い…嫌な臭いがした…。その…臭いは何なのか直ぐに…解ったのだ……。』
“ 血の… 鮮血の臭い… ”
その言の葉が響き渡った瞬間…
周囲の人々は、凍り付いた。
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