~ 忌まわしい過去 血の戦慄② ~

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“ 全身が…凍り付く…。鮮血の臭いが…鼻をつき吐き気がする…これは…夢ではない。夢で…あって欲しいのに… ”               周囲の人々は、息を飲み顔色が変わるのが解る。 屋敷には、春と言うのに冷たい夜風が吹き荒れ…桜花の花が散りゆく。        ひらり        はらり…    誰かが…涙を流している様に、優しくも儚げに桜花は風に乗って、地へと落ちた。 鬼の顔をした蒼助も…涙を流し震える。            ~ 回想 ~   …足が震え…全身が……震えた…。玄関を震えた足で上がる。…がくがく…音が聞こえる位の足をゆっくり進めた…。 少し歩くと…黒い“モノ”が横たわっている…。 黒い“モノ”は…動き一つもせず…そこに横たわっていた。 初めは暗くて解らなかった…。それが…“ナニ”か等…。 震えが強まる…。己の身体ではない位…壊れたかの様に…。   ゆっくり…ゆっくり…横たわっている“モノ”に近付いてゆく…。     『……ッ!?』   声にならない声が出た後、ぐぐっと…胃液が咽をつき込み上げてくる。それを抑えな口を手で覆う。           口許が震え、言の葉も震え口から零れる。       “ 何故…神は…私にこの様な悪夢を…見せるのだろう…。何故…… ”    
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