~ 忌まわしい過去 血の戦慄 ③ ~

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“ 血の気が引く恐怖が…私を襲う…。その先に待つ結末を…見るのが怖い…。怖くて…仕方ないのだ… ”                   身体が震える…。嫌な汗が全身を…じわり…じわりと濡らしていく。  女房の変わり果てた骸は、苦しみと断末魔に歪み、目をぎょろりと見開いている。    何かを訴えているかの様…   蒼助は、かたかたと震える手を女房の顔に延ばし、見開き色彩を無くした眼(まなこ)に手を置き、ゆっくりと手を下ろした。 女房の眼は、閉じられた。 蒼助は、合掌し念仏を唱えた。     どうして…何故(なにゆえ)…この様な事に……!   合掌した手を解き、床を拳で殴り付けた。 拳からは、赤き鮮血が滲み始める。      痛み等…感じない。   こんなちっぽけな怪我等より…   心が…折れてしまう…痛みの方が…         痛い   蒼助はゆっくりと立ち上がり、ふらりとふらつく身体を柱に預け他の部屋へ向かい始める。     台所へ向かと、生臭い…魚ではない…異臭が立ち込めていた。 夜の漆黒の闇の中では、眼を慣らすのに時間が掛かった。 奥の竈(かまど)に微かに火がついているのを頼りに、ゆっくり入っていく。 鼻につく異臭が、また吐き気を振り返す。 歩み進めると、足に柔らかな感触が当たり、躓(つまず)きそうになった。 必死に踏ん張り、身体を起こし躓いた物をよく見る。   ぱち…ぱち…と火花が散り、新たに木が燃えた明るさで辺りの様子が解る。   『………ッ!?』   この屋敷に仕えているのだろう…女房の一人と、男が倒れていた。      
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