~ 第十九花 修羅王降臨 ~

2/2
前へ
/180ページ
次へ
“ 夜に泣く 心苦しや 我が思ひ  怨み募りし 我が身に誓ふ ”        友里は激しい激痛に息も絶え絶えになる。 黒き煙りは、人型になり激痛に苦しむ友里を面白そうに笑みしながら黙って見ている。   “ モット…モット 苦シメ… 己ノ怨ミ辛(つら)ミノ…念ヲ高メルノダ…クックックッ ”   黒き煙りの主は、ぶつぶつと何かを呟くと友里の痛みは更に強まった。   『ぐぁ…………!』   声に出来ない叫びを上げ友里は、もがき苦しむ。 ごろごろと畳を転がり悶える。 それをまた…可笑しく笑う…黒き煙りの主。   『お…お…前の…正…体は何だ』   声を搾り出しながら、友里は黒き煙りの主を見る。   『我カ…?我ハ…“ 修羅 ”トデモ呼べ…オ前ガ…怨念デ作リ上ゲタ者…言ワバ…オ前ダ…』   そう言うと高笑いをし始めた。 友里はその言葉に画然とする。   “ 私が作り上げたのか…? ”   自分の雅に対する叶わぬ今までの想いと、将文に対する怨みと…自分を馬鹿にしてきた輩に対する怨みが、このもののけを作ったのか…。   『…フッフッフッフッ…ハッハッハッハッ…』   突然、友里が笑い始めた。 黒き煙りの主は、その姿を面白そうに且つ…嘲笑いながら見つめた。   『これは…面白い…傑作だ…。クックックックッ……私に力をくれるのだろ…?私の身体を使うがいい…………。さぁ……その其方の力を……………私に……………』        “ 授けよ ”     妖しく笑いながら友里は呟いた。 黒き煙りの主は、喉の奥で笑うと…     “ 御意 ”   と呟くと持っていた刀を天に翳(かざ)し、また…友里の体内に消えていった。 友里の体内に入ると、友里の目の色が変わった……     まるで……       今宵の 赤月の 様に …             “ 私は 力を 授けた … これでやっと … 姫を 我が物に 出来る … ”
/180ページ

最初のコメントを投稿しよう!

149人が本棚に入れています
本棚に追加