149人が本棚に入れています
本棚に追加
“ 赤月の 不吉な光り 身に注ぎ 怨みの力 鬼人と変わる ”
部屋から覗く赤月を、酒を飲みながら見つめる。
友里は、血の様に赤い月を妖しく笑みしじっと…見つめる。
その時…修羅の声が脳に響く。
“ 友里ヨ…我ノ力ヲ…試シタイカ……? ”
不敵な低い声で笑いながら友里に言う。
その言葉に、くつくつと喉の奥で笑いながら…
『お前の力か…くくっ…そうは言うが…お前…血を欲しているのだろ?くくくっ…』
扇子で口元を隠しながら、友里は妖艶に笑う。
その問いかけに同じ様に笑うと、友里の身体の中から出てくる。
修羅は友里の前に膝立ちをすると、にやりと笑い
『クックック……嗚呼…血ガ欲シイ…鮮血ヲ…浴ビタイモノダ…フッフッフッ………』
立ち上がり己の腰から刀を抜くと、舌で刃を濡らし友里を見る。
その姿に鼻で笑うと修羅を見上げ
『名の如く……か戦いが好きな奴だね…そんなに血が欲しいか…?』
『嗚呼……血ガ欲シイ……サァ……オ前ノ怨ミノ…我二見セテミヨ………』
そう告げると、また友里の身体に入った。
友里は、妖艶に笑うと酒を煽り座から立ち上がった。
昼間、睦を斬り捨てた刀を腰にさし部屋の襖を開ける。
その時……………!
部屋の前にがたがたと震えながら、一人の女房が立ちすくんでいた。
あわあわと手を口に当て、動けずに友里の顔を見上げた。
友里はくつくつと喉の奥で笑うと、腰にさしてある刀に手をやる。
仕種で女房は、“きゃー!”と悲鳴を上げ、逃げ出した。
逃げ出した女房を、愉快そうに見ると女房の後をゆっくりと追う。
その悲鳴声で、他の女房や友里の父親も驚き部屋から飛び出した。
女房は真っ青になり、結っていた髪が解け振り乱しながら、逃げ惑う。
他の女房は部屋に隠れ、逃げ惑う女房をゆっくりと追って来た、友里の顔を見た……
何と…物凄い…悍ましく笑みする表情…
他の女房達は、友里が通り過ぎるまで部屋でがたがたと震えながら待ち、追われている女房の後を追った。
友里は妖艶に笑いながら女房を、ゆっくり…ゆっくりと…追う
『逃げても無駄だ……フフフッ』
“ さぁ……其方の血を……見せておくれ…………くくっ… ”
“ 誰にも負けぬ…力を手に入れたのだ…さぁ……逃げ惑うがいいさ……直ぐに捕まえてやろう… ”
最初のコメントを投稿しよう!