海賊と人魚

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ある海底に人魚のお姫様がいました。人魚のお姫様は話すのがとても苦手で友達はおらず、頭もあまりよくありませんでした。 人生に疲れていた人魚姫は私なんてサメの餌になってしまえばいいのにと強くねがっていました。何をしても失敗ばかりで仕事も出来なかった人魚姫は自分の世界に閉じこもるようになりました。 拾ってきた貝殻や、自分で作った人形、または鏡に向かって話しをするようになりました。日に日に食欲も無くなり、人魚姫の長い美しい髪も艶がなくなりました。 ある、晩のこと、人魚姫は不思議な体験をします。頭が割れたと思ったら声が聞こえてきました。どうやら海の上、空の向こうこら聞こえてくるようです。人魚姫、貴方は世界で一番愛されている存在なのです。海底から地上に出てくればきっと、貴方を見つけてくれる人がいるでしょう。声は人魚につきまとうようになりました。 ある晩、人魚は意を決して、人間のいる砂浜に姿を表しました。そこでは海賊達が宴会を開いてる真っ最中でした。海賊たちは痩せ細った人魚を見つけこういいました。 「こんなに痩せた人魚はみたことがない、お前さんどうしたんだ、飯でも食うか?」 人魚は海賊たちから肉刺しを一切れもらうと噛み締めるように食べました。味がする食事はいつぶりでしょうか、人魚は自分がお腹が空いていたことも忘れていたのです。 「ありがとうございます」 人魚は海賊に礼を言いました。 「人魚のお嬢さん海賊に礼なんていうもんじゃないよ、それよりもやってほしいことがある」 海賊は人魚の尾鰭を鎖で繋ぐと船に繋いでしまいました。 「お前さんには嵐避けになってもらう人魚が通る道は、荒れないというからな、俺たちと一緒に航海をするんだ、もちろん働いた分だけ飯は食わせてやる、そんなにやせてるんだ、いい条件だとおもうぜ」 人魚は海賊達と共に航海をしました。最初は鎖で繋がれてたのですが、逃げないの分かってから、鎖は外されました。人魚は魚と話ができるので、嵐がくる方角や海流が荒れているところなどを海賊におしえました。 いつしか、海賊達は人魚を仲間だとおもうようになり、ミケと名付け、船の番まで任せるようになりました。 人魚姫はもう一人ではありませんでした。 海賊達とともにいくつもの海をわたり、逞しくなりました。仲間のもとへは帰れなくなりましたが、海賊との宴会の中で素敵な歌声を披露している自分が好きになったのです。 海賊達が死ぬまで、楽しい航海は続きました。海賊達は死ぬ前に人魚姫の故郷の海へ戻ってきて、宝の山とともに海賊船を海底に沈めました。 人魚姫は彼らがいなくなってからも、海底に沈む船の宝を守りつづけ、幸せな旅の記憶を思い出し、一人で歌う日々がつづきました。 海賊の宝を守る人魚の話は瞬く間にひろまり、宝を狙うごろつきが現れるようになりました。人魚はその度に歌を歌い、宝を狙うごろつきを海に溺れさせてやりました。いつしか人魚はおそれられる存在になり、また、ひとりぼっちになりました。 けれども、以前よりも寂しくなく、思い出とともに海底でくらしましたとさ、めでたし、めでたし☆ 海底で暮らしていた人魚が宝を狙った盗賊に恋をするのはもう少し時間が過ぎてから……☆

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