バス停

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街路樹の葉がすっかり落ちてしまうと、日は短くなり、風も冷たくなる。 舞子はこの季節が嫌いだった。 バスを1本逃してしまった舞子はひとり、次のバスを待っていた。 道の向こう側のバス停では、反対方向へ帰る男女が楽しそうに話しながらバスを待っていた。 彼らは寒さなど感じないのだろうか? そう思ったとき、こちら側のバスが来て、舞子の視界から彼らが消えた。 暖房の効いたそのバスに乗り込むと、指先が切れた。 舞子はその傷口を押さえたが、冷えた手で冷えた手は温められなかった。
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