10人が本棚に入れています
本棚に追加
街路樹の葉がすっかり落ちてしまうと、日は短くなり、風も冷たくなる。
舞子はこの季節が嫌いだった。
バスを1本逃してしまった舞子はひとり、次のバスを待っていた。
道の向こう側のバス停では、反対方向へ帰る男女が楽しそうに話しながらバスを待っていた。
彼らは寒さなど感じないのだろうか?
そう思ったとき、こちら側のバスが来て、舞子の視界から彼らが消えた。
暖房の効いたそのバスに乗り込むと、指先が切れた。
舞子はその傷口を押さえたが、冷えた手で冷えた手は温められなかった。
最初のコメントを投稿しよう!