行きのバス

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少し背の高い少年だった。 袖のボタンは2つともきっちりしめられ、シャツはズボンの中におさまっていた。 髪の毛は耳にかからない長さに切られていて、レンズの厚そうな眼鏡をかけている。 『真面目そう…』 彼は毎朝、文庫本を読んでいた。 カバーがかかっているため、何の本かはわからなかった。 しかし舞子は、人前で読めないようないかがわしい小説を読んでいるのだろうと決め付けていた。 舞子の友達が、よくカバーで題名を隠して、そういった小説を読んでいたからだ。 『いかがわしい小説ってわかってても、ああいう身なりのきちっとしてる男の子が、ああやって読書をしている姿は、さわやかなもんね!』 舞子は勝手な思い込みで、くすっと笑った。 と、その時、少年と目があった。
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