最後のおくりもの

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 それからの数日間は、色を失っていた灰色の世界に鮮やかな色彩が戻ってきたかのようだった。凌太が戻ってきてくれたという事実だけで、私の心は満たされた。  私たちは失われた時間を取り戻すかのように、ただただ愛し合った。彼の温かい腕の中で眠り、朝には彼の優しい「おはよう」で目を覚ます。キッチンに立てば、私の後ろからそっと抱きしめて、首筋にキスをしてくれる。  他愛のない冗談で笑い合い、ソファで寄り添ってあの頃みたいに二人の好きな映画を見た。悲しい別れなど無かったかのように。  「菜津未、君の淹れるコーヒーが一番美味しいな」  「もう、凌太ったら。私に淹れさせたいからって、いつでもそう言うよね 」  ぷくっと膨らませた私の頬を、凌太がつつく。  「違うよ、本当にそう思ってるんだよ 」  そんな、ごく普通で、しかし私にとってはかけがえのない会話が、毎日を彩った。  私たちは一緒に食事を作り、時にはベランダで並んで星を眺めた。彼の指が私の髪を撫で、私の頬を優しく包み込んで、優しいキスの雨を降らす。その温もりは、夢ではないと彼が教えてくれた。  一度は失ったと思っていた未来が、再び目の前に広がっている。そう信じて疑わなかった。彼の存在があるだけで、世界は輝きを取り戻し、私は再び呼吸ができるようになった。生きる喜びを、彼が私に思い出させてくれたのだ。  しかし、穏やかな時間は長くは続かなかった。ある穏やかな晴れの日、いつものように凌太は私の髪を優しく撫でながら、静かに告げた。その声は、なぜか遠く聞こえた。  「聞いて欲しいことがある、大事なこと 」  「なぁに? 改まって 」  凌太は、自然に私にキスをすると、優しく髪を撫でながら言った。  「菜津未、僕は死んでいるんだ。ここにいられる時間は残り少ない。僕はもう少ししたら、消えてしまうから 」  

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