女嫌いなイケメン俳優と恋愛ドラマのリハ中です!

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「分かってるよ。だから変態だって言ってんの」 「……それ、褒めてます?」 笑い交じりに問い掛けたあたしに、 「あたりまえでしょ」 さらり、と言い切る百瀬さん。 そのたった一言にあたしがどれだけ動揺するかなんて、百瀬さんには分からないんだろう。 「……光栄です」 照れ隠しにそう返すあたしに、百瀬さんが「だから」とこっちを見る。 その視線を感じて、ちらっと助手席に顔を向けると、 「なにコソコソしてんのか知らないけど、早く戻って来てよね」 ばっちり百瀬さんと目が合った。 「……っ。別にこそこそなんて……」 「そう?」 「そうですよ……。あたしはただ――」 言い訳を口にしようとしたあたしの声は、百瀬さんの「カツ丼」という言葉に遮られる。 「へ?」 突然の言葉に素っ頓狂な声が口をついて出た。 その声同様に間の抜けた顔をしてるだろうあたしに、 「誰かさんがネギ抜いてくれたおかげで、美味しく食べられたよ」 百瀬さんはにっこりとお手本のような笑みを浮かべる。 「……えっ!? あっ……」 「さすが俺のマネージャー。気が利くよね」 「……っ!」 ば、ばれてる……! 完全に! 何もかも! 「……いつから気付いてたんですか……」

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