第五章 やっぱり海か

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「……同じ時代に生まれた事が不幸だったのか……」 「いいえ、不幸は、転じれば幸運なのです。逆境は人を育てます」  俺よりも年下の紘務に諭されてしまったが、それは俺も思う。  修太朗は小豆を扱わせたら天才といえる一族の中に生まれ、自分の和菓子を求めた。それは逆境と幸運が同時にあったようなものだ。だが、本人は幸運だけ得たと思っている。  天才にとっては逆境も味方なのだ。 「惣一は友人が多いのに、仲間と呼べる人がいなかった。そこが、唯一の欠点なのです」 「……そうだな」  俺も紘務から、仲間と呼ばれたいものだ。  そうすれば、どこへでも手を出せる。出来うる限り、守ってやりたい。 「……そんな顔をしないでください。夏目さんが許してくださるのならば、俺は夏目さんの仲間です」 「俺が許すとか、そんなものはない。紘務が望めば、俺はいつでも駆けつける」  困った頃に、俺は紘務がお気に入りなのだ。 「よし、ならば、少し解説しよう」 「はい?」

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