嘘つき狼に花束を

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 この世界の住民は、二つに分けられる。  一つは、羊。  柔らかな髪と優しい目を持つ、温厚で優しい平和主義者。  一つは、狼。  まっすぐな髪と鋭い目を持つ、貪欲で野生的な荒くれ者。  かつて、羊と狼は同じくらいの比率で存在していた。  しかし羊たちは、狼を嫌った。武器を持ち、やがて狼の首に金をかけた。  『優しい羊を凶暴な狼から守るのだ』と、そう唱えて。  それを何度も繰り返し────いつの日か、狼は森の奥に隠れて暮らすばかりになった。  日の下を歩くのは、羊だけとなったのである。  やがて羊たちは、狼の存在すらも忘れてしまった。  残ったのは二つだけ。  昔は狼という悪役がいて、羊たちはそれをこらしめたのだ、という武勇伝。  それから、万一生き残りに出会った時は即座に殺すのだ、という注意喚起。  それだけを残して、狼という存在は忘却の彼方に押しやられたのである。  これは、そんな世界で紡がれた物語。

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