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本棚に追加episode 6
嶋は薬学部に通っていた。
その中でも抑制剤の研究を専攻していくらしい。
進学先はずっと前から決めていたし、俺と同じ大学だということも知っていたという。
「すごいな」
学内でもかなり倍率の高い学部だ。ヒートを抱えながら合格するのは並大抵の努力では足りないだろう。
それでも嶋に奢る様子はない。
「多分、ギリギリ合格した」
薬学部の資料をまとめながら嶋がいう。
たった一つの講義だけしか被らないのに、嶋は課題に追われているようだった。
それでも顔を見られることが嬉しかった。
「あのさ」
不意に嶋が顔を上げてこちらをみる。
「昼メシ、一緒に食わね?」
言いながら、嶋の視線が逸れていく。自信無さげに小さくなっていく声に、嶋でもそんな風になる時があるのかと驚いた。
「うん、もちろん」
自分の声も釣られて少し硬くなる。
伊部と交わすのならば何も意識しないただの会話なのに、嶋とはまるで別物になってしまう。
「よかった」
安堵してまた資料に向き直る嶋に、彼はいつも何を食べるのだろうと思った。
思えば、好きな食べ物すら知らない。
講義室に教授が入ってくる。
嶋は慌てて資料を片付け、ノートを取り出す。
俺もノートを開くが、講義の内容よりも、このあとの昼食の方が頭を占めている。

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