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01. 雨宿りをするぼく
くだした腹のような音が天から聞こえてきたとき、マズイなと思った。傘は持っていない。
これから走っても、家にたどり着くには、まだまだ距離がある。この先にある、駄菓子屋さんで雨宿りをしよう。もう少ししたら、土砂降りの雨になるだろうから。
もう、店じまいをしてしまって、誰もいないけれど、建物だけはある。ガラス戸を開けてなかに入ることはできない。だけど、ぴたりと壁沿いにはりついて、庇の下に隠れていれば、ずぶ濡れになることはない。
夏の夕立だ。いつまでも降り続けることはないだろう。しばらくすれば、やむに決まっている。
一滴、頭の上に雫が落ちてきた。ポツ、ポツと、今度は続けざまに。そしてどんどん、雨が身体に打ちつけてくる。じめじめとした空気のなかに、ざあっと滝のように降る雨。アスファルトの上に白煙が立ち込めている。
間一髪、駄菓子屋さんにたどりついた。庇の下にいても、雨から完全に守ってもらえるわけではない。制服は濡れそぼってきた。肌にはりついて、気持ちが悪い。
木造家屋が立ち並ぶなかに、ひっそりと構えている駄菓子屋さんの跡。ここから坂道をのぼり、橋をわたり、また坂道をくだり……くだりきった先に、ぼくの家はある。
雷鳴はますます強く響き、あたり一帯を揺らすようだ。耳はもう、雨と雷の音しか拾ってくれない。
なんで、スマホの電池が切れてしまったのだろう。これじゃ、誰かに来てもらうことができない。学校を出るときには、まだ余裕があったはずだ。それなのに、いま確認してみると、もう起動しなくなっている。

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