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この日秋人は引っ越しの為に家の中を整理していた。
およそ10年過ごしたこの家は真尋との思い出が詰まっていて、秋人の手元には小学生の頃の真尋が小遣いで初めてプレゼントしてくれたハンカチがある。
因みにその日は敬老の日だった。
敬老の日にプレゼントを貰うのは初めての秋人は、ああ、自分は渡される側なのだなと実感した事を思い出した。
そんな懐かしい思い出のハンカチを秋人は段ボール箱に入れながら苦笑いをした。
「また捨てられない物が増えたな」
江戸時代から生きて来て、引っ越しも数え切れないくらいしているが、その度に荷物が増えて困る。
思い出の品はどうしても捨てられないし、やはり勿体無いと思ってしまう。
売れる物はなるべく売ってはいるが、中々手放せない物も数多くある。
今しがた段ボール箱に入れた真尋からのプレゼントのハンカチのように。
「意外と荷物あるね。結構処分した筈なんだけど」
すると自分が使っていた部屋で整理をしていた真尋がやって来た。
思ったよりも荷物が多いなと真尋は思った。
「お前はどんどん捨ててたな。
私は中々思い切りが無くて困る」
真尋にとってはいらないのではと思う物も秋人にとっては大事な物だったりする。
結局捨てられず段ボール箱へ詰め込まれる。
「まぁ、取り敢えずこの辺の物は貸し倉庫に持って行くよ」
「貸し倉庫?」
何のことかかと聞くと、どうやら秋人は溜まった荷物を預ける為の倉庫を借りているらしい。初めて知った。
「どうしてもな、処分出来ない物が増えてしまう」
引っ越しの度に、どうしても必要でない物はその倉庫にしまってあるらしい。
今回もそこに捨てられない物を預ける予定の秋人。
因みにその貸し倉庫のオーナーは妖の混血の男性らしいので、怪しまれず安心して借りれている。
そうして秋人は無事新居へ引っ越した。
今度の引っ越し先は天明道にいる人がオーナーのマンションの5階。
この辺りは転勤族も多いそうなので近所付き合いはあまりなさそうなので、秋人のような訳ありの人には気楽かもしれない。
荷物も部屋に運び込まれ、そして一部は貸し倉庫へ持って行かれた。
その貸し倉庫に秋人と真尋はいた。

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