1話「居場所を求めて」

3/6
前へ
 /25ページ
次へ
小さく息を吸い込み、途切れそうになる声を絞り出して、言い切った。 「だから、俺……晋也さんのとこがいい! 住み込みで料理でも掃除でも洗濯でもするから…!」 モニター越しの晋也さんの表情が、一瞬固まる。 目を見開いて、声も出さないまま ただ俺を見つめていた。 その沈黙が、ひどく長く感じられた。 やはり迷惑だったかもしれない。 こんな風に突然押しかけるなんて、子どもすぎたか――。 そう思った瞬間 ガチャリと音を立てて、目の前の扉が開かれた。 「とりあえず入っておいで。寒いだろ」 晋也さんは困惑の表情を消し、いつもの優しい声でそう言った。 言われるままに家に上がらせてもらうと、すぐに温かいリビングへと通された。 暖房が効いているのか 外の冷気とはまるで違う、じんわりとした温かさが体を包み込む。 ソファに座るよう促され、晋也さんはキッチンで温かい飲み物を用意してくれた。 湯気の立つマグカップを差し出され 両手で包み込むと、冷え切った指先にじんわりと熱が伝わった。 「あのさ、柊」 晋也さんは、俺の向かいのソファに座り 少しだけ真剣な表情で俺を見た。 「……?」 「一緒に住むのは歓迎するよ。いや……ご飯も掃除もありがたいけど、それよりも……」 少し間を置いて、また続ける。 「ほら、柊の両親…昔から良い親とは言えなかったし…気持ちの整理まだ着いてないんじゃないかなって心配でさ」 その言葉に、俺は思わず俯いた。 晋也さんは、俺の親のことをよく知っていた。 「……大丈夫だよ、親父はずっと酒飲んで俺に当たってくるし、二つの家庭まで持ってたくせにアル中で死んだし」

最初のコメントを投稿しよう!

41人が本棚に入れています
本棚に追加
広告非表示!エブリスタEXはこちら>>