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「まずは、目だな。目の動きで大体の犯罪者は一般人と見分けがつく。越田という男の目、あれは警察を恐れている男の目だ。ようするに何かやらかしている。それと体格。本来なら中年太りの兆しが見えてもおかしくないだろうあの年齢であの枯れ木みたいな痩せ方。あれは年端のいかぬ女児に対して異常な執着をみせるサイコパス的な変質者によく見られる典型的な特徴だ」 現代の精神医学や犯罪心理学においては個人の隠された性癖とその人物の体型の関連性は認められていない。だが実際に検挙された性犯罪者に限ってみるなら、女児に手を出す輩はなぜか枯れ木のように痩せている場合が多いのだ。 「あの越田という職員ですがね、二十年ぐらい前にやつが二十代だった若い頃、一年数ヶ月の間に女児三人を次々と拐って殺して、どこかに遺体を隠してるかも知れんのですよ。当時かなり騒がれた事件だから、年の功ってやつで、犯人と見られる男の防犯カメラ映像なんかが記憶の片隅に残ってたんですわ」 「ええっと、うーん、と」 半信半疑といった顔で、若宮はルームミラー越しに冴木を見ている。 若宮も渡辺もまだ若いからリアルタイムでは知らないのだろうが、M県警の管内では二十年ほど前のわずか一年数ヶ月の間に三人の女児が立て続けに失踪したきり未だに行方不明のままだ。行方不明になった女児に似た女の子を連れ去る若い男の姿が防犯カメラに捉えられており、その映像は全国に公開された。にも関わらずM県警は未だに犯人とみられる男の特定にいたっていない。事件が騒がれた当時、冴木は公開された防犯カメラ映像をテレビでみた。二十年ほど前にみた映像の男は枯れ木のように痩せた若い男だった。その男の醸し出す雰囲気が越田に似ているのである。顔が似ているのかどうか、それはわからない。防犯カメラに残された男の顔は不鮮明であり、その映像をもって個人を特定することは出来ない。だが全体的な雰囲気は越田によく似ている。防犯カメラの男が二十年以上の年月を経れば、今の越田になっていてもまるでおかしくない。冴木は、あの防犯カメラ映像の男と越田は、完全に同一の人物であるとみて、それを確信している。 「越田を引っ張って調べてみる価値はあると思いますよ」 渡辺が言った。 「冴木さんは本当に霊感でもあるんじゃないかってぐらい、こういうことはほぼ百発百中で当てるんですよ。何しろどっちが犯罪者かわからないようなこの顔で、文句無しの検挙数ナンバーワンなんですから。冴木さんは本来なら警視や警部に昇進していてもおかしくないのに、人格と行いに問題があって巡査部長より上の階級には昇進できないんです」 「こら」 「あいた!」 冴木に後ろ頭を叩かれ、渡辺は反射的に肩をすくめた。 「ピーチクパーチクと、雀かおまえは」 「いいえ、ただの風見鶏です」

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