万能薬は傷に沁みる

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 今講じうる最良の対応策について考え込んでいると、アルベリクがぽつりとそう呟いた。  隣を見上げて「え?」と首を傾げると、アルベリクがこちらを見つめて困ったような笑みを浮かべる。 「君の手や腕の力を『奪った』女だぞ?」  アルベリクは、ユリナがミレイユの腕の力を奪ったことをどうしても許せないらしい。ミレイユ以上にミレイユの身体を心配し、ユリナへの怒りを露わにし、もっと怒ってもいい、と態度で示してくれる。 「もちろん、受けた仕打ちを許すつもりはありません。ですがそれとこれは、話が別です」  けれどミレイユが力を奪われた件と、ユリナが異物を抱えて苦しんでいる件は、まったく別の話だ。もちろん思うところがないわけではないが、今は分けて考えるべきである。  自分の考えを言葉にして伝えると、アルベリクがふっと表情を緩めた。 「君の公正で毅然とした判断に、俺はいつも驚かされるな」  感心したような納得したような一言を零したアルベリクが、そっと手を伸ばしてくる。  その指先が、夜風に攫われていたミレイユの横髪をそっと掬って、優しく耳にかけてくれる。秋風は日を追うごとに冷たさを増してきているが、晒された頬に寒さは感じない。頬に添えられたアルベリクの手が、いつまで経っても離れないからだ。 「? アルベリクさま……?」 「誰にでも平等で、どんな相手とも真っ直ぐ向き合う強さがあるからこそ、俺は君に惹かれるんだろう」  不意に零れたアルベリクの一言が耳に届くと、ミレイユの動きがぴたりと止まる。欄干に乗せていた手も、ぴくりと反応する。 (惹かれてる……って――え……?)

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