9636人が本棚に入れています
本棚に追加
『………』
あたしの手には
学生鞄。
あたしはいつも――
帰り道に彼等の家まで
荷物を持たされる。
あたしが……
彼等を家まで送っている
ってこと。
(普通……逆でしょ。)
そんなことを思うあたしを放って
歩き始める二人。
『おら、行くぞ!』
『ちょっ……待ってよ!!』
あたしは両手一杯に
荷物を持ち、追いかける。
『あっ……優斗、荷物……!』
『いいよ。
自分で持つ。
それで……精一杯だろ?』
にこっと笑って
優斗は言う。
『…うん……。
ありがとう……。』
(優斗って……
優しいんだか――
悪魔なんだかわかんない……)
最初のコメントを投稿しよう!