1/7計画

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 ユリアはまだ少し足元がふらついているので、筒井が肩を貸して二人そろってゆっくりと歩いた。  30分ほども歩いただろうか、古い倉庫が並ぶ一角にたどり着き、電車の高架の下にある、物置小屋のような小さなスペースにユリアは筒井を招き入れた。  中に入るとユリアは床の大きな金具に手をかけて上に引き上げた。それは大きなドアになっていて、地下へ続く階段が現れた。  その木で作られた階段を降りて行くとまた、今度はまっすぐ垂直に立っている錆びかけた鉄製のドアがあった。  ユリアがそのドアをリズムを付けて3回叩くと、小さな細長いのぞき窓が向こう側から開かれたようで、こちらをのぞく一対の目が見えた。  そして鉄のドアが内側に開き、ユリアは筒井を手招きしながらドアの向こうに入って行く。筒井も訳が分からないまま後に続いた。  そこは大きな部屋になっていた。壁はコンクリートが打ちっぱなしで、粗末な木のテーブルが真ん中に置かれていて、その周りに安っぽいパイプ椅子が雑然と置かれていた。  テーブルの周りには目つきの鋭い3人の中年の男たちが座って無造作にタバコを吹かしながらトランプ遊びに興じていた。その中の一人がユリアに声をかけた。 「どうしたユリア、久しぶりだが顔色が冴えねえな」  ユリアが答える。 「腹が減ってぶっ倒れてたとこを、この人に助けてもらったんだ。筒井って呼んでやってくれ」  筒井はその男たちの眼光の鋭さにたじろいだが、とりあえず頭を下げて見せた。  さっきの男が薄い食パンが2枚だけ入った袋をユリアに放り投げて渡しながら訊いた。 「で、その筒井ってのは新入りなのか?」  ユリアは食パンをさっそく頬張りながら答えた。ユリアが食パンに歯を立てるとガリッと音がした。よほど古くなって硬くなっているパンらしい。 「まあ、仲間に入れるかどうかは神崎さんに相談してからだ」  

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